読書の記録Vol.2  
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嬉しい☆バルガス・リョサ!

スウェーデン・アカデミーは7日、2010年のノーベル文学賞を、ペルー出身の作家、マリオ・バルガス・リョサ氏(74)に授与すると発表した。

名前を聞いてビックリ☆
そして嬉しかったー☆

池澤夏樹氏の個人編集 世界文学全集で初めて出会った作家さんで
読んだのは「楽園への道」
久しぶりに自分のレビューを読んでみたら
すごく感動していたことが思い出されて・・

ログインが必要なレビューにしちゃってるので
ノーベル賞を受賞されたことですし
「続き」の部分を・・・(笑)
今回はオープンにしてここに記録しておきます。
2年前のレビューではありますが・・^^;

 2008年1月21日読了

 この物語はあの天才画家ゴーギャンと
 その祖母フローラのそれぞれの生き方を辿った歴史小説。
 
 構成としては対位法が用いられていて、
 奇数章ではフローラの社会に対しての反逆、
 偶数章ではゴーギャンの芸術への反逆。
 どちらも19世紀末のヨーロッパへの反逆だった。

 フローラが誕生したのは1803年 
 ゴーギャンが没したのが1903年・・・。
 この百年という時間の流れを
 それぞれの苦悩の運命とともに強烈に描き出す。

 どこまでがフィクションでどこがそうでないのか
 そんな境界線は全く気にならない・・・
 あくまでも小説だもの!

 とにかく構成が絶妙だと思う!
 時間の流れもいくつもの流れに分かれていて
 まるで曲がりくねった一本の川が
 時に真っ直ぐ、時に岸と寄り添うように
 速度を変え、景色を移し、時間を揺らしながら進んでいく。
 確かに時間の流れが少し複雑で
 ふと気付くと、あ・・過去の話かぁ〜なんてところもあるけれど
 面白い! うん!ハメられる☆
 
 フローラは資本主義に立ち向かい
 労働者と女性の解放に尽力を尽くすけれど
 幾度となく彼女が味わう失望や後悔を語り手が諭すように振り返りながら
 少しずつ成長してゆく彼女の姿を追いかける。
 運動への思考錯誤の様子にも心を奪われた。
 執筆活動に没頭し、書物を通し思想と言葉で埋め尽くされていた彼女が
 言葉は大切だけれども行動の伴わない運動は、
 たとえ美しい言葉であろうとも煙のように消えてしまうことに気づき
 そこからまたスタートを切るところも共感できる。

 一方、ゴーギャンの冒険心や狂気、探求、敗北、闘争に満ちた激しい人生を
 語り手は、『マナオ・トゥパパウ』『パペ・モエ』
 『アイタ・タマリ・ヴァヒネ・ジュディット・テ・パラリ』など
 次々に魂から描き出される作品制作の過程と共に
 有名な「アルルの耳切り事件」などをも織り込み
 生涯忘れえぬ友情や遠い思い出、
 そして西洋に侵食されていない未開の地での
 インスピレーションを何度も喚起させながら語っていく。

 もう・・詳しく書くときりもなく。
 恐ろしく簡単に表現すると・・
 バラバラにかつ並行して語られる二人の運命も
 行き着くところは「人類愛」に重なるんだと思う。

 二人のラストシーンには感動した。
 震えるような静かな感動。
 思わず・・涙、だった。

 激動の社会の中
 忘れてはいけないものをしっかりと見つめていた二人の強い意志。
 その意思を貫徹させるためには
 大きな犠牲もあったし悲しませてしまった人もあった。

 『諸文化と交錯し、異なる空気、異なる風景、異なる価値観、
 異なる民族、異なる信仰、異なる生活観、異なる道徳』
 唸りをあげた時間の中で力いっぱい自分に素直に生きた命だからこそ
 その最期が余計に対照的で印象的な静寂さを帯びていたように思う。

 この物語はフローラとゴーギャン
 二人の時間を越えて混じり合った「色」で描かれた
 『楽園への道』という絵だ。

 日本初訳☆
 出会えて良かった作品です!!
 池澤さんに感謝です☆

 早々と・・なんですが・・笑

 今年の私のベスト3に入りそうな予感です♪

http://blog.livedoor.jp/happy526/archives/51199506.html

04:46 バルガス・リョサ -