読書の記録Vol.2  
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『貴婦人Aの甦生』小川洋子
2010年6月11日読了(朝日文庫)

★★★☆☆





 
北極グマの剝製に顔を突っ込んで亡くなった伯父を追うように本に埋もれて亡くなった父。
 不可思議に連鎖する死 。
 伯父が残した剝製に自分のイニシャルを刺繍する青い目の叔母。
 ゆっくりと紐解かれていく叔母の真実。そして最後には導かれし貴婦人Aの死。
 姪である主人公がモノクロームな世界に色を付けながら語りあげた時、
 読者の中で甦生は完了する。


失われた時間を大切に埋めるような描写。登場人物もみんな個性的で魅力的。
 私が特に好きなのは・・主人公「私」の彼、ニコ。
 どうしてもこのネーミングの響き気に入ってしまった^^
 強迫性障害を持つニコと叔母さんの不思議な距離感がよいのです。
 ラストで何気にニコの描写が・・小川さんの筆は本当に何気に・・なのですが
 その描写でジワリときました。
 伯父のコレクションで埋まった洋館での不思議な時間の中に
 沢山の愛情と静かな思いやりが溢れた作品。
 
 



07:20 小川洋子 -